業界の「当たり前」は当たり前ではない
これは転職を決意した直接のきっかけになった「ブラック体験」の正直な記録です。私が経験したことは決して珍しいことではなく、税理士・会計事務所業界では「ありがち」な話です。だからこそ、転職を考えている方の参考になればと思い、あえて詳細に書きます。
ブラック体験1:サービス残業の常態化
入社した事務所は「残業手当あり」の求人でしたが、実態は違いました。月の残業時間のうち、認定される残業は月30時間まで。それ以上は「みなし残業に含まれる」という説明でした。繁忙期(1〜3月)の実際の残業は月80〜100時間。差分の50〜70時間はサービス残業です。
「みんなやっているから」という文化の中で、異議を唱えることができる雰囲気はありませんでした。
ブラック体験2:「成長機会」という名の使い捨て
「若いうちはがむしゃらに働くのが当たり前」「苦労した分だけ成長できる」という言葉を、上司からよく言われました。最初は信じていましたが、2年経っても年収は5万円しか上がらず、担当件数だけが増えていく状況に疑問を感じ始めました。
「成長機会」という言葉が「安い給料で多くの仕事をさせるための美化」であることに気づいたとき、転職を真剣に考え始めました。
ブラック体験3:デジタル化に対する意識の低さ
クラウド会計の話を所長に提案したとき、「そんなもの使わなくていい、今のやり方で十分だ」と一蹴されました。別の機会に「DXへの対応が必要では」と言うと、「申告書を電子化しているからDXは対応済みだ」という答えが返ってきました。
この瞬間、「この職場では自分の成長はない」と確信しました。業界の平均年齢が高く古臭い文化は変わらないと感じ、外に出ることを決意しました。
転職活動と脱出
転職活動ではエージェントに「ブラック体験」を正直に話しました。当然ながら前職の悪口になるため言葉は選びましたが、「残業の実態」「成長実感のなさ」「デジタル化への抵抗感」という事実は正直に伝えました。これが転職先を選ぶ際のフィルタリングに役立ちました。
転職先での面接では「前職を辞めた理由」を必ず聞かれました。「環境を変えて専門性を高めたかった」という前向きな表現に言い換えながら、実態(残業過多・成長機会の欠如)も遠回しに伝えることで、面接官に職場環境を見極める視点があることをアピールしました。
読者へ:ブラック環境に慣れすぎないで
ブラック環境の最も怖い点は「慣れてしまうこと」です。サービス残業・低賃金・成長機会の欠如が「当たり前」になると、外の世界を知る機会を失います。私が転職市場の相場感を知ったとき、最初に感じたのは「自分は正当な報酬を受け取っていなかった」という怒りでした。
今のあなたの職場環境が業界の標準かどうかを知るために、まず転職エージェントに相談してみてください。「知るだけ」でも、現状を客観的に評価する助けになります。
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