税理士としてのキャリアにさらなる付加価値をつけたいと考えたとき、USCPA(米国公認会計士)とのダブルライセンスは最も投資対効果の高い選択肢の一つです。近年、Big4税理士法人や外資系企業を中心に、税理士×USCPAの人材への需要が急速に高まっています。
この記事では、税理士がUSCPAを取得するメリット、市場価値の変化、効率的な取得方法を具体的にお伝えします。
なぜ税理士にUSCPAが有効なのか
USCPAは「米国の公認会計士」ですが、その価値は米国に限定されません。グローバルビジネスの共通言語としての会計・監査知識を証明する資格として、日本でも高く評価されています。
税理士とUSCPAの組み合わせが強力な理由は以下のとおりです。
- 日本税務×国際会計のハイブリッド人材:日本の税法に精通しつつ、IFRS(国際財務報告基準)やUS GAAPの知識も持つ人材は極めて希少
- 外資系企業からの需要:外資系企業の日本法人では、本国への報告にUSCPAの知識が直接役立つ
- 移転価格税制への対応力:移転価格の実務にはグローバルな会計知識が不可欠。税理士×USCPAは最強の組み合わせ
- Big4でのキャリアアップ:Big4税理士法人では、USCPAホルダーは国際案件への配属優先度が上がる
ダブルライセンスの年収インパクト
税理士がUSCPAを取得することで、年収は100万〜200万円以上アップするのが一般的です。
キャリアステージ | 税理士のみ | 税理士+USCPA | 差額 |
|---|---|---|---|
スタッフ(1〜3年) | 400万〜500万円 | 450万〜600万円 | +50万〜100万円 |
シニア(3〜7年) | 500万〜700万円 | 600万〜850万円 | +100万〜150万円 |
マネージャー(7年〜) | 700万〜1,000万円 | 850万〜1,200万円 | +150万〜200万円 |
外資系Tax Manager | 800万〜1,000万円 | 1,000万〜1,500万円 | +200万〜500万円 |
特に外資系企業のTax ManagerやBig4の国際税務部門では、USCPAの有無で年収が200万円以上変わるケースも珍しくありません。
USCPAの取得にかかるコストと期間
学習期間の目安
税理士試験合格者であれば、会計の基礎知識があるため一般的な受験者よりも短期間で合格できます。
- 一般の受験者:1,000〜1,500時間(1.5〜2年)
- 税理士資格保有者:700〜1,000時間(1〜1.5年)。会計科目(FAR)は税理士の知識で大幅に短縮可能
費用の目安
費目 | 金額 |
|---|---|
予備校費用(アビタス) | 60万〜80万円 |
予備校費用(TAC) | 50万〜70万円 |
受験料(4科目) | 約10万〜15万円 |
学歴審査・出願手数料 | 約5万〜10万円 |
渡航費(日本国内受験も可能) | 0円(東京・大阪のプロメトリックで受験可能) |
合計 | 約80万〜120万円 |
初期投資は決して安くありませんが、年収アップ分を考えれば1〜2年で回収可能な投資です。
USCPA取得後に開けるキャリアパス
税理士×USCPAのダブルライセンスで、以下のキャリアパスが現実的な選択肢になります。
1. Big4の国際税務部門
デロイト トーマツ、PwC、EY、KPMGの各法人にある国際税務チームは、USCPAホルダーを積極的に採用しています。移転価格、クロスボーダーM&A、恒久的施設(PE)課税など、高度な案件に携われます。
2. 外資系企業のTax Manager
外資系企業の日本法人では、日本の税務申告と本国への税務レポーティングの両方を担当するTax Managerが必要です。税理士×USCPAはまさにこのポジションにピッタリのスキルセットです。
3. 移転価格の専門家
移転価格税制は税理士業界の中でも最も年収が高い分野の一つです。税理士の税法知識とUSCPAのグローバル会計知識を組み合わせることで、移転価格の専門家として高い評価を得られます。詳しくは移転価格税制のキャリアをご覧ください。
4. 海外駐在・グローバルモビリティ
Big4のグローバルモビリティプログラムに参加すれば、海外事務所での勤務も可能になります。USCPAは海外での認知度が高く、現地での業務がスムーズに進みます。
おすすめの予備校
- アビタス(Abitus):日本語のテキストが充実しており、税理士資格保有者向けのカリキュラムもある。合格者数は日本一
- TAC:大手予備校の安心感。税理士試験でTACを利用していた方は学習環境に馴染みやすい
- プロアクティブ:オンライン特化で費用を抑えたい方向け
税理士試験との学習シナジー
税理士試験で学んだ知識は、USCPAの4科目のうち特にFAR(財務会計)とREG(税法・商法)で大きく活きます。
- FAR:簿記論・財務諸表論の知識がベースになる。日本基準とUS GAAPの差異を中心に学べば効率的
- REG:日本の税法知識があれば、米国税法の構造を理解しやすい
- AUD(監査):税理士試験にはない分野だが、基礎レベルなので新規学習でも十分対応可能
- BEC(ビジネス):管理会計やIT、コーポレートガバナンスの基礎。比較的合格しやすい科目
まとめ
税理士×USCPAのダブルライセンスは、キャリアの選択肢と年収を劇的に広げる投資です。特に国際税務や外資系企業への転職を視野に入れている方には、強くおすすめします。80万〜120万円の投資と1〜1.5年の学習で、年収100万〜200万円以上のアップが見込めるのは、非常に効率的なキャリア投資と言えるでしょう。
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