税理士法人研究

東京vs地方の税理士法人|年収差・仕事内容・ライフスタイル

東京と地方の税理士法人の年収差・仕事内容・ライフスタイルを比較。東京で4社を経験した筆者が、地方勤務の現実とそれぞれのメリット・デメリットを解説します。

「東京の税理士法人と地方の税理士法人、どちらを選ぶべきか?」——これは税理士としてのキャリアを考える上で、意外と大きな分岐点です。

筆者は東京で4社(政府系金融機関、準大手税理士法人、大手コンサル、上場企業)を経験してきました。東京でのキャリアを積み重ねてきた立場から、地方勤務のメリット・デメリットも含めて率直にお伝えします。

東京と地方の年収差

まず最も気になる年収差から見ていきましょう。

勤務先タイプ

東京

地方(政令指定都市)

地方(その他)

個人事務所(経験3-5年)

400〜550万円

350〜480万円

300〜420万円

中堅法人(経験5-10年)

550〜750万円

450〜650万円

400〜550万円

準大手以上(経験5-10年)

650〜900万円

550〜750万円

一部拠点のみ

Big4(マネージャー)

900〜1,200万円

東京勤務が前提

額面での年収差は概ね50〜150万円程度です。東京の方が高いのは間違いありませんが、「東京の方が圧倒的に稼げる」とまでは言えない金額差です。

生活コストを考慮した実質年収

ここで重要なのが生活コスト、特に住居費の違いです。

項目

東京23区

地方政令市

差額(年間)

家賃(1LDK)

月12〜15万円

月5〜8万円

約60〜84万円

通勤時間

片道40〜60分

片道15〜30分

食費

やや高い

やや安い

約12〜24万円

住居費だけで年間60〜84万円の差があります。額面年収の差が100万円だとすると、手取りベースでは東京と地方でほぼ変わらない、もしくは地方の方が実質的に余裕があるというケースも十分にあり得ます。

筆者は東京でずっと働いてきましたが、住居費の高さは常に感じるところです。特にキャリアの初期段階で年収が350〜500万円の頃は、家賃を払うと手元にほとんど残らないという月もありました。

仕事内容の違い

東京の特徴

  • クライアントの多様性:上場企業、外資系企業、スタートアップなど、あらゆる業種・規模の企業がある
  • 専門分化:国際税務、M&A税務、移転価格など、特定の分野に特化したキャリアを築きやすい
  • Big4・準大手の選択肢:大手法人の本社機能は東京に集中しており、選べる法人が圧倒的に多い
  • セミナー・勉強会:業界のイベントや勉強会の開催数は東京が最多

地方の特徴

  • 中小企業の顧問業務が中心:地元の中小企業や個人事業主が主なクライアント
  • 総合型のスキル:法人税・所得税・相続税まで幅広く扱う「何でもできる税理士」が求められる
  • 地域密着の関係:クライアントとの距離が近く、長期的な信頼関係を築ける
  • 独立のしやすさ:開業コストが低く、地域での人脈が直接仕事につながる

筆者の準大手税理士法人時代の同僚で、地方にUターン転職した人がいます。彼は東京では組織再編の案件を担当していましたが、地方に戻ってからは「何でも屋」として中小企業の顧問業務を幅広くやっているそうです。「専門性は落ちたが、クライアントに感謝される実感がある」と話していたのが印象的でした。

キャリア形成の違い

東京でキャリアを積むメリット

  • 専門性を深められる:特定分野に特化した経験を積むことで、市場価値の高い税理士になれる
  • 転職の選択肢が多い:Big4、準大手、コンサル、事業会社と、キャリアの幅が広い
  • 年収の上限が高い:Big4のパートナーやコンサルのディレクター以上を目指すなら東京が前提
  • 情報量が多い:最新の税制改正や業界動向の情報に触れやすい

地方でキャリアを積むメリット

  • 独立しやすい:開業コストが低く、地域の競合も東京ほど多くない
  • ワークライフバランス:通勤時間が短く、残業も東京の大手法人ほど多くない傾向
  • 地域での存在感:地元の税理士として顔が広がり、紹介で仕事が舞い込む
  • 総合力が身につく:幅広い税務業務を一人で完結できるスキルが養われる

筆者の感覚では、年収1,000万円以上を目指すなら東京、ワークライフバランスと地域での存在感を重視するなら地方というのが大まかな判断基準です。

地方勤務で注意すべきこと

1. 事務所の数が限られる

地方では、転職先の選択肢が限られます。東京であれば「合わなければ他の事務所に移る」が比較的容易ですが、地方では事務所の数自体が少ないため、最初の事務所選びがより重要になります。

2. 最新情報へのアクセス

税制改正や業界動向のセミナー・勉強会は東京に集中しています。地方にいると情報のアップデートが遅れがちになるため、オンラインでの情報収集や自主的な学習の習慣が重要になります。

3. 専門分野のキャリアチェンジが困難

地方で「国際税務をやりたい」「M&A税務に携わりたい」と思っても、そのような案件を扱う法人がそもそも存在しないことがあります。専門分野へのキャリアチェンジを考えるなら、東京や大阪への移動が必要になるケースがほとんどです。

「東京→地方」の移動パターン

近年増えているのが、東京で数年経験を積んでから地方にUターン・Iターンするパターンです。

東京の準大手以上で3〜5年の経験があれば、地方の中堅法人では即戦力として高い評価を受けます。年収も地方としては高水準(600〜700万円程度)でオファーされるケースがあり、生活コストの安さと合わせると実質的な生活水準は東京時代よりも上がることもあります。

さらに、東京で培った専門性を地方に持ち帰ることで、地域では希少な存在になれます。例えば、東京で組織再編の経験を積んだ税理士が地方に移れば、その地域では数少ない組織再編のプロとして重宝されます。

独立を見据えた選択

将来の独立開業を考えている場合、東京と地方ではアプローチが大きく異なります。

項目

東京での独立

地方での独立

開業コスト

高い(家賃月20〜40万円〜)

低い(家賃月5〜15万円〜)

競合

非常に多い

比較的少ない

顧客単価

高い

やや低い

集客方法

Web・紹介・セミナー

地縁・紹介・商工会

顧客層

多様(IT、飲食、不動産等)

地域の中小企業が中心

地方での独立は、開業コストが低い分、損益分岐点に到達するまでの期間が短いというメリットがあります。東京で独立すると、黒字化するまで1〜2年かかるケースも珍しくありませんが、地方であれば半年〜1年で軌道に乗る可能性があります。

まとめ:どちらが正解かは「あなたの優先順位」次第

東京と地方、どちらの税理士法人を選ぶかに「正解」はありません。重要なのは、自分が何を優先するのかを明確にすることです。

  • 年収の上限を追求したい → 東京
  • 専門分野を極めたい → 東京
  • ワークライフバランスを重視したい → 地方
  • 将来の独立を見据えている → 地方(特にUターン)
  • 両方のいいとこ取り → 東京で経験を積んでから地方へ

筆者は東京で4社を渡り歩いてきましたが、キャリアの選択肢の多さという意味では東京を選んでよかったと思っています。一方で、地方で充実したキャリアを築いている同期の話を聞くと、「それもまた一つの正解だな」と感じます。

大事なのは、流されるのではなく自分の意思で選ぶことです。どちらを選んでも、税理士の資格があれば後からの軌道修正は十分に可能です。

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Suger税理士

税理士資格保有。会計事務所・税理士法人での実務経験を活かし、会計業界のキャリア・転職に関するリアルな情報を発信しています。

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